Archive for the ‘財政’ Category

6月議会は外郭団体の報告

議会によっては「報告だけ」のところもあるようですが、高砂市議会では本会議で質疑の形で議論をします。
第二百四十三条の三 
2  普通地方公共団体の長は、第二百二十一条第三項の法人について、毎事業年度、政令で定めるその経営状況を説明する書類を作成し、これを次の議会に提出しなければならない。
(予算の執行に関する長の調査権等)
第二百二十一条第三項の法人
3  前二項の規定は、普通地方公共団体が出資している法人で政令で定めるもの、普通地方公共団体が借入金の元金若しくは利子の支払を保証し、又は損失補償を行う等その者のために債務を負担している法人で政令で定めるもの及び普通地方公共団体が受益権を有する信託で政令で定めるものの受託者にこれを準用する。

減税補てん債と減収補てん債

法人税減税の議論が出ています。ニュースにも書きましたが、「将来の景気回復をあてにして減税」という手法は何度も失敗してきました。

さらに地方自治体レベルでは「減税分を借金してもいいよ」という制度があり、さらに「国が後で面倒をみてやるよ(地方交付税交付金の計算式で考える=需要額に入れる)というのです。
発行をガマンをすれば、それでも国は計算式に入れる方法もあるのですが、自治体は毎年のみかけの収入を少しでも多くしたいために飛びつきます。※1
でも、結局景気回復はせず、借金となって残っています。

そして、景気が悪くなると「減収補てん債」が発行可能になります。減税補てん債と同じような仕組みです。

昔はこうした「借金」は箱ものの借金の補てん率の引き上げ(家のローンで頭金が少なくなるイメージ)だっただけだったのですが、途中から「何でもあり」になりました。

結局、景気をよくするというかけ声のためにも実際に景気が悪くなってもすべて「借金」にするのです。
本当にサギみたいな話です。

地方財政情報館の説明
http://www.zaiseijoho.com/deco/deco_k-26.html

とってもマトモなニッセイ基礎研究
http://www.nli-research.co.jp/report/research_paper/2010/rp10_003.pdf
1 減税補てん債の方は見つけきれませんでしたが、減収補てん債の「借金以外の方法」はこの研究所のP18,19に書いています。ようは発行しなければ、3年で「計算式に入れる」というのです。

「精算対象額から減収補填債発行同意・許可額の 75%を控除した残額は、 翌年度以後3年度以内に新年度の交付税算定の際に基準額に加算(減算)する形 で行われる。」


30億円の借金放棄となった土地開発公社 私の過去の提言

30億円の貸付金を放棄することとなった土地開発公社について、
私は2007年から一貫して提言を続けてきました。改めて見ると「2004年からチャンスがあったにもかかわらず、歴代政権が無視をして、どうしようもない状態になってから取り組んだ」という実態がよくわかります。

土地開発公社監事としての提言(2007年)
こちら

随時監査の時の提言(2008年10月22日)
こちら

◉2007年時に指摘した言葉
平成16年の国の「土地開発公社健全計画」には高砂市は「財政上つぎこむ余力がない」という理由で計画策定の手続きをしなかったとの答弁をうけた。
しかし、健全化計画を策定した団体が「現状の公表」「改善計画」「改善の目標」を明確にして市民にも公表している状態と比べると非常に不透明である。(参考 奈良市)
同じ長期計画であれば「高砂市の会計から5000万円程度でも着実に20年間投入する」とした方がよほど健全である。市の支援策の具体策はのちに述べるが、痛みを回避するあまり策をうたずに「先送り」する愚だけは避けなければいけない。


財政に強くなろうー分科会講演レジュメー

候補者、若手議員に向けて

財政に強くなろう!みどりの政治・選挙スクール分科会2014.4.20井奥

疑問などは 090-4030-1219 にて

1、あなたの自治体について基礎データを語れますか?

基礎レベル 人口は?面積は?予算規模は?

中級~上級レベル 税収は豊かなの?どんな産業が多いの?人口は増えているの、減っているの?

2、誰でも調べられる簡単な方法があります

「決算カード」 検索は「総務省 決算カード」で

(他にも自治体で掲載しているところも) 候補者ならざっと頭に入れる程度で十分

他に新聞記事で過去の市長選挙の争点で財政問題があれば収集して注意をして読む

3、なぜ財政を議論しないといけないのか

■必ず覚えて帰って 今までとこれからは政治家の役割が違う から

まず、何をするにもお金は必要 ゼロ予算でも人件費はかかる

今まで  国の目をかいくぐって、予算を増やせば良かった(国や県とのパイプ) 政治家は「要望」を行政に伝えればいい 行政も(幹部が退職までの)数年乗り切ればいい

→結果は「何となくみんな満足」と「膨大な借金」 借金に鈍感な政治家が量産

子どもたちにツケをまわす政治が横行

これから 限られた予算の中で「あれか、これか」の選択 議員は「自分を指示してくれる人」としっかりと議論しながら、自分と考えの違う市民・議員と「全体」議論をしないといけない 全体議論には財政議論が不可欠

※でも税収を伸ばせばいいんじゃない?経済成長すれば…という方は青木さんのお話を復習を。

補足①自治体で新しくやれることは1割以下 でも先進自治体をめざすために

国、県の方向性  今までの先例 をのぞけば非常に少ない

ただし、そこで「居眠り自治体」か「先進自治体」かに分かれる

1割以下でも新しく何かをしようと思うと予算を考えないといけない

補足②破綻している国が自治体まで破綻させようとしている

自治体と国の財政を比べれば、実は圧倒的に国の方が「悪い」 なのに「誘導政策」で自治体財政まで悪化させようとしている 自民党末期、政権交代後の民主政権、再政権交代後の安倍自民党 と続く「経済対策」のワナにのらないために財政に強くなろう

4、各地で起きている「国が後で面倒をみてやる」事業の推進

おかしな公共建設事業には必ず「国が面倒を見てくれる」という仕掛けとセット。

例 補助金、合併特例債など借金とその後「国が面倒を見てくれる」という仕掛け、公共建設事業「だけ」にでる交付金=特に防災・減災関係が多い

例 鳥取市庁舎移転建設、西宮市病院移転(移転新築と現地改修の経費は同じ、いや逆に移転新築の方がトクという歪んだ論理)→個別事業の分析は相談ください

■最後に 7世代先をみすえた政治のために財政に関心を

ネイティブアメリカンのことわざ。この気概をもって、せめて「10年先、20年先」を考えよう。バックキャスティング=目標を先に持って現実政策を考える


第三セクター債、土地開発公社、企業会計変更、要綱チェック

自治体議員政策情報センターで書いた表題の課題についての文章を備忘録的においておきます。

 

自治体議員政策情報センター資料説明


再任用制度の運用について全国に問い合わせしました

(1)情報交換のお願い

平成25年より退職後の無年金期間が生じることにより、職員の再任用条例の新設・改正、運用の変更が議論になりつつあるようです。
職員の再任用条例の制定・改訂状況と運用(指針などがあるのか など)も情報交換できれば幸いです。

なお、状況が変わっていますが、再任用の基礎知識については以前に以下のように論点整理と高砂市の報告を書いています。
http://p.tl/lQVG

ちなみに今年度には高砂市では再任用職員制度が導入されました。
それに対しても、私のニュースですみませんが、論点整理をしています。
http://ioku3.sakura.ne.jp/pdf/NEWS76.pdf

(2)条例と運用の乖離、運用の指針や実態は?

条例が制定・改訂されたとして以下のような問題があります。
・無年金状態の職員を全員再任用すると人員計画が大きく変わるのでは

今まで再任用条例を制定していた自治体も「希望者」「短時間」を中心に「全員」「フルタイム」ではない運用をしてきたと
思われます。そのあたりの実際の運用と、それが指針など何らかの方針で行われてきたのか、ぜひ情報交換したいと思っています。

指針なし、運用として管理職以外で3年程度の短時間、管理職は外郭団体への出向…というようにされている自治体が多いのではないかと推察されますが、いかがでしょうか。

ちなみに一番極端な泉大津の事例を聞きますと「条例は制定しているが、運用はしていない」という実態もあるようです。
立場の違いにより質問も変わるでしょうが、泉大津の事例に対しては「全職員の採用義務、フルタイムが基本では」という質問になるのではないかと思われます。

また、条文を十分読みこなせていませんが、条例において「無年金期間は義務的に対応(希望者は基本的に全員採用)」と
「無年金後の期間(希望者も任意で対応)」を条文として分けているのか、指針として出すのみなのか、皆さんの自治体条例も研究いただければと思います。

(3)国からの「通知」

なお私は個人的には地方分権と逆行するような「通知」はおかしいと思いますが、以下のような通知が出されています。
○地方公務員の雇用と年金の接続について(総務副大臣通知)(平成25年3月29日)
http://www.soumu.go.jp/main_content/000216510.pdf

ちなみに制度提案もされ、全自治体に意見照会もされています。
○制度概要案
「地方公務員の雇用と年金の接続に関する制度概要(案)」(平成24年8月29日)
http://www.soumu.go.jp/main_content/000184893.pdf

○意見照会
「地方公務員の雇用と年金の接続に関する制度概要(案)」についての地方公共団体への意見照会結果(平成24年10月23日)
http://www.soumu.go.jp/main_content/000184891.pdf

気をつけないといけないのは、国はいろいろ書いていますが、大企業は法律の対象になっていて義務化されていますが、国家公務員は閣議決定(執行の範囲のもの)であり、地方公務員に関しては法律を提案できていないことです。
自治体の実態にあわせて適切な議論と運用が必要かと考えます。


平成13年度〜25年度 国の地方財政計画と歴代内閣方針

[政策資料]平成13年度〜25年度 国の地方財政計画と歴代内閣方針
国は地方の財政のフレームを統計的に把握し、かつ政策的な誘導を行う「地方財政計画」というものを年末に例年作成します。詳しくは別途書きますが、「臨時財政対策債について考えたい」という地方議員向けにまとめて分析してみました。
○注釈
国の地方財政計画は都合の良い数字をその時々に使うので、
わかりにくいのですが、
・実質的な地方交付税総額(地方交付税交付金+臨時財政対策債)
・税収+実質的な地方交付税総額
という数字は国が用語として使い、時々の資料で使用しているものです。
きちんと同じレベルで数字をあわせていくと、全体的な姿が見えてきます。
地方財政計画に見る流れ
わかりやすい特徴として以下の3点があります。ちなみに資料でも特徴的な年は色づけしています。
(1)当たり前の話だけれど、税収が伸びると(あるいは予測されると)実質的な地方交付税総額は減る
例えば近年最高の伸びを見せた平成19年度、20年度では税収40兆円まで税収がのび、一方で地方交付税総額は18兆円前後まで
下がった。一方でここ数年は税収は33〜34兆円程度(最盛期に比べると5兆円減)なので、地方交付税総額は23兆円
(5兆円増)は確保
これはある意味で地方交付税交付金の仕組みからすると当たり前の話。(税収の足りないところに地方交付税交付金をわたす)
アベノミクスが成功すれば、ある意味で平成18年度〜19年度の景気があがってくる状況に似てきます。
つまり、来年度は地方交付税総額は減る可能性が大きくなります。
(2)地方交付税総額が減る中では臨時財政対策債は減ってくる
地方交付税交付金は原資を「法律で定められた税収の一部」をもとにしています。
しかし、上に書いたように「税収減」の時には「地方交付税総額」を増やす必要がでてきます。
もとになるお金が減っているのに、総額は増やさねばならないので大変です。
そこで、いろいろな操作を加えて「1年限定の臨時的措置」で
国の一般財源を入れることによって地方交付税交付金を確保することを行っています。
それでも足りないので、「臨時財政対策債」を増加させることになります。
平成21年度の麻生政権の2.8兆円→5.1兆円、平成22年度の鳩山政権の5.1兆円→7.7兆円はその典型です。
その後も減ったとはいえ6兆円代をキープしています。
しかし、通常は2−3兆円が通常だったわけで、ここ数年が高止まりだったといえます。なんと平成13年度の制度発足以来、総額57.4兆円も発行しています。
これから景気回復、地方交付税交付金総額が減る中では、臨時財政対策債は当然減ってくることになります。
(3)税収+実質的な地方交付税総額 も政権の考え方で変わる 大きく削減される可能性も
なお、バブル以後この間「右肩上がり」から「定常化社会」になっており、骨格はほぼ変わっていません。
表にもあるように57兆円前後におさまっています。
その中で政権の考え方によっては本来は一定のはずの税収+実質的な地方交付税も大きく削減される可能性もあります。
規制緩和・税収増、一方で減税と政府の支出削減という小泉改革が絶好調の時代ではその減少がおきました。
平成16年〜18年度は骨格の額は53兆円程度も大きく削減されていた。
地方が近年でもっとも苦しかった時代です。いまだに小泉改革をもてはやす人がいますが、派手な打ち上げ花火の裏側で地方を苦しめていたことを忘れてはなりません。
それを受けた第一次安倍内閣でも58兆円と戻すなど、このシナリオはとらないとは考えますが、
もし仮にアベノミクスが大成功した場合、規制緩和・税収増、一方で減税と政府の支出削減といういわゆる新自由主義的な政策
安倍首相や周辺もとりやすい政策です。警戒はしておいた方がいいのです。
ということで、臨時財政対策債の額を一定におさえることはこうした国の動きにも対応する重要な政策といえます。
私がアドバイスした議員さんには「せめて予算額では国の発行額どおり満額としたとしても、実際の発行時点では最低限1割は減らすべきでは」と言っています。
これは大阪府の高槻市などで行われています。
※なお、税収、臨時財政対策債ともあくまで予算ですので、実際の税収や発行額などは別途決算を見てみないとわかりませんが、考え方として全額が確保されたものとして議論を進めています。

 


大都市の財源是正議論に見る「エゴ」の乗り切り方

私は今の政治の閉塞感は「自分の関係団体(あるいは自分の政党)の利益につながることを声高に主張し、公開での調整に応じない」とする政治風土にあると思っています。
市民はその姿を見て「結局はエゴのぶつけあいが政治か」とうんざりしてしまいます。
一方で自分にデメリットがなく、利益を生むとなれば思想信条を超えて議論抜きに全会一致してしまうという風土にもつながってしまいます。
東京都で毎年行われている「地方特別税、法人特別譲与税」の議論がまさしく上記の要素が強いものだと思われたので、その議論に対する私流の「乗り越え方」の具体的な対案を示します。ポイントは「全体の利益の中で自分たちの権利を考える」ということだと思います。
ちなみにこの制度は大都市に偏る税収偏重を改善するために国が法人税の一部を取り上げて再配分するという仕組みです。消費税アップにともない、地方消費税も増えてますます格差が開くので東京都を中心に大都市は必死に地方議会での決議を求めています。一部はすでに全会一致で可決されたようです。
+++++++
調査部の井奥です。

この制度(地方特別税、法人特別譲与税)に対する私、井奥の感想です。

(1)制度的には矛盾の多いものであり、さらに「国」主導であることに問題点があるとは思います。
ここは東京都などの「国が変則的な制度設計すべきではない」という指摘はそのとおりでしょう。
(2)しかしながら、東京都や大都市の「大都市ならではの需要が多い」という指摘だけでは説得力がない
下水道や水道、基本的な道路などのインフラ整備がほぼ完了し、域外施設なども含めて施設数もダントツに多い
大都市が一方的に自分たちの事情を言っても説得力がありません。
逆に例えば東京都の長期ビジョンでは「人口は全国的には減っても東京はのびる」とあるように周辺地域も吸収してのびて行こうという戦略が明らか。人口減少社会に悩む過疎地を抱える他の都道府県や自治体からすると「都合の良い論理」に見えます。
(3)いい意味でも悪い意味でも発信力のある石原都知事が毎年アピールしてもマスコミから無視されている。自分たちの利益だけにつながるものを訴えるだけでは意味がない
国税化が強調されているが、使途としては大都市以外の自治体に回ることを明確にしていない。
これでは「東京都やその都市に都合の良い」議論とされてしまう。
23区が熱心なのは当たり前で、「都区財政調整制度」というシステムがあり、都の財政状況がストレートに区の財政に及ぼされます。
本当は機械的にやらねばならないのですが、都の都合で算定式が左右されてしまいます。
そのためにできるだけ多い方がよいということでしょう。
三多摩地域も同じ事で、都独自の補助金率(特に大規模建設事業)など都の財政により左右されます。
それにより、各自治体の財政状況に影響するので熱心になるということでしょう。(不交付団体などとは関係ないかと思います)
ただ、「自分たちの権利を声高に訴える」というやり方はマスコミも含めて冷たくなっています。自分に利益あることを一生懸命になるのは「当たり前のこと」であり、マスコミも「わざわざ特定の利益になるようなものの宣伝にしたくない」というベクトルが働きます。
だからこそいい意味でも悪い意味でも発信力のある石原都知事が毎年アピールしても無視されました。
(4)東京都もエゴととらえられないような「地方でまとまる」改善策を提言すべき
意見書の議論の際には、東京都のいい分だけに終始する可能性があるので、賛否はともかく
(2)(3)も踏まえた議論はすべきかと思います。
その上で、「地方でまとまる」改善策の提言への修正まで合意できたらベストでしょう。
例えば、財源は別途都道府県協議会(仮称)が使途を決定するなど、「国」ではなく「水平な立場の都道府県」が使途を決めるように求める、使途は福島県あるいは東北地方に重点配分するように求めるなど大都市以外も納得するような仕組みもセットで提言すべきかと思います。
十分資料を読みこなしていないかもしれませんが、東京都でのお手伝いをしていて毎年気になっていましたので。
参考資料:
総務省 地方法人課税のあり方等に関する検討会
http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/kenkyu/tihou_houjin_kazei/一番下に最終報告書があります。
報告書概要「地方財政のあり方について」
http://www.soumu.go.jp/main_content/000258177.pdf

東京都「『都市と地方の財政力格差是正論』への反論」の作成について
http://www.metro.tokyo.jp/INET/OSHIRASE/2013/11/20nb1300.htm
反論概要
http://www.metro.tokyo.jp/INET/OSHIRASE/2013/11/DATA/20nb1300.pdf

東京都市長会「地方財源の拡充に関する要請書」
http://www.tokyo-mayors.jp/new/141.html


自治体の借金 景気と金利との関係に注意が必要

決算資料として請求をおすすめした議員から「どう資料活用するの?」と問い合わせがあったので、最後にアドバイスを示します。かなり大雑把ですが。

その前に少しだけ…

自治体は今までは「国」やその影響の強い政府系金融機関の保護のもと、「国が認めればいつでも借りられる」という状況に甘えてこれました。「リスクの少ない貸し付けは安い利子、リスクが高い貸し付けは高い利子」という市場原理と関係なく借り続けることができたわけです。(代わりに安い金利になっても借り換えできないという欠点はありましたが)
郵政改革でその一部がなくなりました。今後は確実に金融市場との関係を考えざるをえません。

例えば、アベノミクスの好景気を喜んでばかりはいられません。好景気になると投資資金を欲しがる人が増え、貸し付けの奪い合いが起きます。そうなると「市場原理」で金利は上昇します。金利が上昇すると自治体の持つ全体の借金の比重が重くなります。そう単純ではないですが、毎年の支払いが増えます。

これへの対策には「借金を減らす」ということが重要なのですが、安倍首相は一方で「景気対策」として公共事業の額を増やし、地方にも「借金を認めてやるからドンドン事業をやれ」とハッパをかけています。この誘惑にうかうかと乗ると、借金総額は増大する、金利は上昇すると相乗効果で自治体財政は大打撃を受けます。

「国が認めても、必要最低限の事業しかしない」という抑制が必要なのですが、高砂市でもうかうかと巻き込まれて事業規模を拡大しています。

「いつまでも借金できるわけではない」という自覚が必要なのですが。

+++++++以下 アドバイスの内容

・地方債借入先別発行条件一覧表
・地方債借入先別及び利率別現在高の状況
予算が決まれば、まるで議会の仕事が終わったかのような今までの考えを変えるための資料です。
予算決定後、事業精査して見積もり、入札、補助金などの申請とお金の借り入れ、実施、完了後検査という仕事が待っています。
建物の場合は、その後も市民の利用、修繕、立て替え と続きます。
決算は実はこうした予算決定後の流れをチェックして議論するいい機会なのです。
上の資料はそのうちの「事業執行のためのお金の借り入れ」という今までほとんど議会で議論されてこなかった点を議論しようとするものです。「高い利息で借りていないか」が大きなポイントですが、なぜ高い利息で借りるかというと
「国関係の機関の押しつけ(借り換えもなかなか許してくれない)」あるいは「国機関の保護が切れて民間が貸し渋りしている」
という点があります。極端な話では民間銀行がお金を貸してくれないという場面も将来的には考えられます。
今でも第三セクター的なところでは起きています。(注 高砂市の土地開発公社)
今まではなぜ問題にならなかったというと「郵貯」由来の融資があったからです。それがなくなり、民間からその分の資金を調達しないといけなくなった時、「調達」という問題が大きくなります。
ちなみにアベノミクスで「インフレ」がいいことのように言っていますが、「インフレ=貸し付け利率の上昇」です。
であれば、「国が起債(借金)を認めてくれた」と喜んで拡大路線を突っ走ると利率が上昇した時に大変なことになります。
アベノミクスでインフレが予定されているのであれば、
余計にしっかりと自治体の財政力を見極め、全体を縮小して適切な借金額にすることが必要なのです。
…という議論のための資料です。特にアベノミクスが吹き荒れる今年度決算と来年度予算には重要です。

 


法人税引き下げ議論はいろんな点で間違っている

[政策資料]消費税アップの代わりに安倍首相が打ち出した法人税引き下げは「復興増税の廃止」という手法がまず間違っています。
そして何より「法人税引き下げで経済活性化」という考え方そのものが世界の状況を見ていない視点といえます。
ちなみに日本の企業で(黒字部分の)法人税を払っている企業は少数です。
週刊ポストの次の記事ではわずか25%と言っています。
http://news.livedoor.com/article/detail/8115317/

「では利益を上げている輸出系の産業が海外へ逃げ出す問題はどうするのか」という方へは
今朝の街頭宣伝で触れた東京都税制調査会の議論を紹介します。
井奥が言っているのではなく、石原都知事のもとでつくられた調査会の有識者の方々による結論です。

井奥のコメント 日本の法人税はけっして高くない!

P21より
・アメリカについては、従業員の民間医療保険を事業 主が負担しているが、その負担分を含めると法人の負担率は 9.0%となり、日本よりも高い水準となる。
・ 我が国の法人の公的負担は、現時点では諸外国と比べて高 いとは言えない状況にある

井奥のコメント 法人税引き下げより公共サービスの充実で魅力豊かな都市へ

P10より

我 が国経済の国際競争力を高め、活性化を図るために今直ちに 必要なことは、企業負担の軽減よりも、むしろ公共サービスの充実を図り、魅力豊かな都市づくりをしていくことである と考えられる。

この他にも法人税引き下げしても、すでに海外に逃げ出した企業は帰ってこないという分析も書かれています。
この税制調査会の資料はいろいろ面白いので、また紹介します。