神戸市会に石炭火発の転換を求める陳情

緑の党ひょうご、共同代表松本なみほは、神戸市議会に対して「莫大な温室効果ガスを排出し、ぜんそくや早期死亡などの深刻な健康被害をもたらしうる神戸製鋼石炭火力発電所新設の計画中止とLNGへの転換を求める陳情」を提出しました。

陳情PDF

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2016年6月14日

神戸市会議長あて

神戸市北区

緑の党兵庫県本部(緑の党ひょうご)

共同代表 松本なみほ

莫大な温室効果ガスを排出し、ぜんそくや早期死亡などの深刻な健康被害をもたらしうる神戸製鋼石炭火力発電所新設の計画中止とLNGへの転換を求める陳情

昨年 12 月 COP21(国連気候変動枠組条約第 21 回締約国会議)で「パリ協定」が採択され、世界全体の温室効果ガス排出量を早急に減らし今世紀後半には排出を実質ゼロにすることなどが 196 カ国・地域で合意されました。

政府は「2030 年度までに温室効果ガス排出を 1990 年比で 18%削減(2005 年比 25.4%削減)」という目標を掲げ、 神戸市は昨年9月に神戸市地球温暖化防止実行計画を改定し、 最終エネルギー消費量を2005 年比で、短期目標 2020 年度 15%以上削減、中期目標 2030 年度 25%以上削減、長期目標 2050 年度 40%以上削減、との目標を設定しました。しかし、2013 年度における神戸市域からの温室効果ガスの排出量は 約 1,246 万トンの、1990 年度比 12.6%増加となっており、政府目標はもとより、COP21 後の国際社会から要請される削減量の達成は絶望的な状況といえます。

このようななか、神戸製鋼は65 万kWを2基、合計130万kwの石炭火力発電所を2021年度、2022年度に運転開始予定とする計画を進めており、神戸市も所定の環境影響評価手続きを進めています。この2基からは年間で約780万トンのCO2が排出されると推定され、これは神戸市域の温室効果ガス総排出の6割以上を占める莫大な量となります。

先月5月、米国環境保護庁(EPA)のモデルを用いて、環境NGOが調査を行い「新規石炭火力発電所による大気環境および健康への影響」を発表しました。これによると「大阪・兵庫エリアでは、全ての計画中の発電所が建設されて稼働したとすれば、新規石炭火力発電所による影響は、200人/年(95%信頼区間100〜208)の早期死亡者と、20人の低出生体重児として現れると推定される。早期死亡者のうち、130人は微小粒子状物質PM2.5への、70人は二酸化窒素 (NO2)への暴露に起因する死亡とされる。発電所が40年稼働すると想定すれば、4,000~1万1,000 人が早期死亡し、800人の低出生体重児が出産される原因となり得る」とされており、年平均のPM2.5 濃度が0.05μg/㎥になる地域が大阪・兵庫の公範囲に及ぶ図が示されています。この予測通りになれば、多数の神戸市民が健康被害を受け、さらなる医療費の負担増となります。

経済産業省によると、石炭火力発電所とLNG火力発電の1kwhあたりのコストを比較したとき、石炭は12.3円、LNGは13.7円でその差は1.4円です。太陽光発電のコストは30円なので、神戸製鋼に対して「石炭火力発電所建設を中止し、再生可能エネルギーに転換せよ」というのは非現実的ですが、燃料費やCO2対策費は変動することもあり、石炭よりもLNGの方がコスト安になる可能性もあるため、石炭ではなく、LNG火力発電への転換を促すことは市民の命と健康を守り、「環境貢献都市KOBE」を目指す神戸市政にとって現実的な政策です。

よって、以下の内容について陳情いたします。

・神戸市地球温暖化防止実行計画の実現可能性について神戸市行政からの説明を求めること。

・神戸製鋼火力発電所新設によって生じうる健康被害について神戸市行政からの説明を求めること。

・神戸製鋼火力発電所新設の環境アセスメント手続きで計画の中止とLNGへの転換を求める意見を提出するよう神戸市行政に働きかけること。
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